スマートフォンを日常的に使うすべての方、特に高齢の家族がいるご家庭の方に知ってほしい話です。最近、AI(人工知能)技術を悪用した「ボイスフィッシング」と呼ばれる詐欺が世界的に増加しています。これは、AIを使う第三者があなたの家族や知人の声を数秒の録音データからそっくりにコピーし、その偽の声で電話をかけて金銭を要求するというものです。日本で古くからある「オレオレ詐欺」の手口が、AIによってさらに精巧で信じがたいものになっています。
例えば、海外では実際に、AIでクローニング(複製)された「娘の声」で電話がかかり、「誘拐された。助けて」と泣き叫ぶ声に親がパニックになり、身代金を支払ってしまった事例が報告されています。この技術は特別な機器を必要とせず、SNSに投稿された声や電話の録音から数秒分あれば作成可能です。つまり、あなたや家族が日常的に発している声が、いつでも悪用されるリスクにさらされています。
では、どう見分ければよいのでしょうか。まず、電話で「お金が必要」「今すぐ振り込んで」と執拗に要求する内容は、すべて詐欺を疑ってください。本物の家族や知人がこのような緊迫した要求を電話だけで済ませることはまずありません。また、AIで生成された声は感情の抑揚が不自然だったり、呼吸の間合いがおかしい場合があります。しかし、品質が向上しており、見破るのは難しくなっています。
最も効果的な防止策は、あらかじめ家族間で「合言葉」を決めておくことです。例えば「今日の晩ごはんは何?」といった質問に正しく答えられなければ、詐欺と判断できます。また、不審な電話を受けたら、すぐに一度電話を切り、相手の電話番号に折り返しかけるのではなく、家族の別の番号(例えば携帯電話)に直接電話して事実確認をしましょう。さらに、SNSで自分の声をむやみに公開しない、電話越しに「はい」などの返事を録音させない、という基本的な対策も重要です。
今すぐできる対策として、固定電話やスマートフォンに「迷惑電話防止機能」を設定することをおすすめします。多くの通信事業者が提供するサービスで、録音警告や番号非通知拒否が可能です。また、オレオレ詐欺などに特化した無料の相談ダイヤル(警察庁「#9110」など)を家族全員で共有しておくと安心です。
AI詐欺は日々進化しており、誰もが被害者になりえます。だからこそ、技術に頼るだけでなく、少しの疑いと確認の習慣が最大の防御です。今日からできることを始めましょう。

