スマートフォンを日常的に使うすべての人、そして高齢の家族がいる家庭にとって、特殊詐欺やフィッシング詐欺は決して他人事ではありません。2026年5月現在、特殊詐欺の被害は前年を上回るペースで増加しており、手口はますます巧妙化しています。特に最近では、AIを活用した音声合成やディープフェイク技術を使い、家族や銀行、警察官を名乗る「なりすまし電話」が急増。電話口で聞かれる不自然な敬語や、普段と違う話し方に違和感を覚えることが、最初の防御線になるケースが増えています。
実際に2026年5月22日には、愛知県でATMを操作していた高齢女性に対し、通りかかった女子中学生が「電話で敬語を使っていることがおかしい」と気づき、詐欺被害を未然に防いだ事例が報じられました。この中学生の違和感こそ、現代の詐欺対策で最も重要な「疑う力」の象徴です。詐欺犯は緊張やマニュアル通りの話し方から、しばしば不自然な敬語やよそ行きの口調になります。日頃から家族の話し方を観察し、「いつもと違う」と感じる感覚を家族全員で共有することが、第一歩です。
では、こうしたAI詐欺や特殊詐欺に対して、今日からすぐにできる対策を具体的に紹介します。
■ 電話での「敬語」「よそ行き口調」を警戒する:家族が電話で極端に丁寧な言葉遣いをしていたら、すぐに近くで会話を確認する習慣をつけましょう。犯人は「緊張」や「台本を読む」ことで不自然な敬語や棒読みになりがちです。「話し方が変だな」と感じたら、それは詐欺のサインです。
■ 「電話でお金の話」が来たら必ず確認する:警察官や銀行員、市区町村職員が電話で「還付金がある」「未納がある」「キャッシュカードを預かる」と言うことは絶対にありません。もしそのような電話がかかってきたら、一度電話を切り、自分で公式の電話番号(警察署や銀行の代表番号)にかけ直して確認しましょう。電話をかけ直す前に、相手の番号をメモし、絶対にかけ直さないことが重要です。
■ スマホのセキュリティ設定を見直す:iPhoneの「不明な発信者を消音」やAndroidの「迷惑電話ブロック」機能を有効に設定しましょう。また、SMSやメールに書かれたURLは絶対にタップせず、公式アプリや公式サイトから直接ログインする習慣をつけてください。特に「国民年金未納」「宅配便の不在通知」「有料サイトの未払い」を装うフィッシングSMSは、ここ数か月で急増しています。
■ 「振り込め詐欺ストップ」アプリや「迷惑電話チェッカー」を導入する:日本国内では、警察庁や各自治体が推奨する無料の迷惑電話対策アプリが多数公開されています。例えば「迷惑電話チェッカー」「ココセコム」「Notify」など、実績のあるアプリを家族のスマホにインストールしてあげましょう。これらのアプリは、危険な電話番号を自動判定し、警告を表示してくれます。
■ 家族ルールを作る:「電話でお金の話が出たら、必ず家族に相談する」「一人でATMに行かない」「キャッシュカードは絶対に他人に渡さない」といった簡単なルールを家族で決めておくだけで、被害を大幅に減らせます。特に高齢の親御さんには、電話口で「ちょっと待ってね、息子に聞いてみる」と言う練習をしておくだけでも効果的です。
AIを使った詐欺は、音声を完璧に模倣するものから、本物そっくりの電話番号を表示する「番号偽装」まで、技術の進化とともに巧妙になっています。しかし、どんなに技術が進んでも、人間の「違和感」と「確認行動」が最大の防御策であることに変わりはありません。今日から、家族の電話の話し方やスマホの設定を見直し、少しでも「おかしい」と感じたら、すぐに行動に移す習慣を身につけましょう。あなたと家族を守るために、今すぐできることから始めてください。

